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花浅葱

Author:花浅葱
写真と旅を愛する名古屋人。
2010年4月より学生になり、
2012年4月、就職すると同時に
大学に編入、2015年3月に
卒業しました。
ゆる〜く更新しています♪

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2014.05.10_11:16
去る5月3日の早朝、
寝ている私の耳に、子猫の声が聞こえてきた。

気になって庭に出てみると、ジャングル化している蚊連草の陰に
我が家の近辺を縄張りにしている猫の姿があった。

「なんだ、この猫が柄にもなくかわいい声を出したんだ」と
都合のいい理由で自分を納得させ、私はまた布団に潜り込んだ。

その日は外出の予定があり、朝食を摂った後
部屋で化粧をしていた。するとまた

「ミャ〜ミャ〜」と、か細い声が聞こえてくる。

もうこれは気のせいでも、聞き違いでもない。
うちの庭に子猫がいると確信せざるを得なかった。

声のするほうへ近づくと、親猫が「フーッ」と威嚇してくる。
しかし所詮野良猫、さらに距離を詰めると慌てふためいて
狭い庭を走り回った挙げ句、逃げ出してしまった。

蚊連草が生い茂るその奥に、何かうごめくものがみえる。
「あ〜、やっぱりか」

何匹いるのだろう。
子猫は何の警戒心もなくよちよちと、こちらに来ようとする。
「1、2・・・2匹かなぁ」
正確にはわからないが、むやみに触ることはできないし
何より出掛けなければならない。
親がいるのだから大丈夫、とその場を離れ
私は予定通り外出した。


外出から戻り、子猫たちの様子を見に行く。
すると、私に見つかったからなのか、親猫は子猫を避難させるべく
大移動を始めていた。

「ミャ〜、ミャ〜」
子猫たちは親猫についていくのに必死のはずなのに
私を見つけるとそんなことはすっかり忘れ、興味本位で寄ってくる。
親は私の姿を見るなり一声鳴いて縁の下に潜り込み、
鼻先だけを出して「フーッ」鼻息を荒げて威嚇している。

子猫は3匹。
しかしそのうちの1匹の動きがどうもおかしい。
他の2匹は親が声を出し誘導するとついて行けるが、
その子猫は声を頼りに動いているにも関わらず
変な所へ入り込んでしまい、身動きが取れなくなっている。

その子猫の顔が見えるよう、地面に顔を近づけてみる。
見えたのは片目が塞がり、もう片方は微かに開いているが
見えているとは思えないような顔。
そう、まるで座頭市だった。


自然界では、いわゆる「障害」を持っていると
生き続けるのは難しい。
目が見えないのなら、恐らく生き延びることはできないだろう。
母親は移動を始めているし、どこに行ってしまうかわからない。
また会える保証はどこにもないのだ。

私は子猫を抱きかかえた。
理屈ではなかった。

しかし手を触れた以上、責任を取らなければならない。
ゴールデンウィーク中でも診察している獣医を捜した。

「典型的な猫風邪ですね」と、獣医師は告げた。
「は?猫風邪?」

これまで長年、犬を飼ってきた。
随分昔に猫を飼ったことはあるが元気そのもので、
餌さえ与えていればいいような時代でもあり
その聞き慣れない言葉を、私の耳は受け付けようとしなかった。

「大丈夫、目は見えますよ」
「えっ!見えるんですか!よかった〜」

そこで初めて、その子のか細い「ミ〜」という声を聞いた。

「お母さん、ちょっと手伝って!」
「は?お、おかあ、さん?」
「だって、この子のお母さんでしょ?」

生まれて初めて呼ばれる「お母さん」の言葉に戸惑いを隠せず、
私の心は少なからず動揺した。

面倒を見る覚悟はしていた。
しかし、「母」となる覚悟はできていなかったのだ。


家に帰ると、母猫たちの大移動は終わっていた。

見えるようになったからと言って、一度手をつけた以上
子猫を返すことはできない。
こうして、思いがけず新しい家族が増えたのだった。

出会いとは、ある日突然
しかし、必然的にやってくる。
小さな座頭市は「もなか」と命名された。


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